鉱物系の猫砂は危険?安全性が高いほこりが立たないものを選ぼう
「鉱物系の猫砂は、危険だと聞いたけど本当?」
あなたは、こんな悩みがありませんか?
確かに、鉱物系の猫砂は危険です。
でも、それは以下の使い方をしたとき限定の場合ですよ。
- ほこりが立つ鉱物系猫砂を使った
- 猫が鉱物系猫砂を大量に食べた
ほこりが立たない鉱物系猫砂なら大きな問題はないのですが、ほこりが立ちやすい市販の安い鉱物系猫砂には注意してくださいね。
また、猫ちゃんが猫砂を大量に食べてしまうときも、鉱物系猫砂はおすすめできません。
鉱物系の猫砂はなぜ危険なのか?
そもそも、鉱物系の猫砂は「ベントナイト」を原料にした粘土鉱物系のものです。
ベントナイトとは、モンモリロナイト(ケイ酸塩粘土)を主成分としたもので、石英・クリストバライト・沸石・長石なども含まれています。
粘土を使った猫砂は、自然の砂に近いため、猫ちゃんに最も好まれます。
猫は神経質な動物なので、「この猫砂は嫌い!」と感じてしまいオシッコを我慢すれば膀胱炎のリスクがあるので、猫砂選びでは「猫が好きか?」がとても重要です。
また、鉱物系の猫砂は最もがっちり固まることから、飼い主からの評判もいいようです。
ただし、飼い主の使い勝手よりも、「猫に安全なのか?」「人にリスクはないか?」のほうが重要ではないでしょうか。
鉱物系の猫砂は比較的安全ですが、リスク0ではありません。
粉塵が細かく猫や人が吸い込むリスクがある
鉱物系の猫砂で、ほこりが立ちやすいものは「ベントナイト塵肺症」のリスクがあります。
細かいホコリが立ってしまうので、猫や人に注意が必要です。
- 喘息など呼吸器系が弱い飼い主
- 喘息など呼吸器系が弱い猫
これらのリスクがあるときは、鉱物系の猫砂を使わないほうがいいでしょう。
実際に、国内では呼吸器系疾患がある人が鉱物系の猫砂を使用して問題が出たケースが3例あります。
本例はペットのトイレ砂吸入による気管支炎と肺臓炎を疑 い,ペットのトイレ砂の使用 を 中止させた。去痰剤,気管支拡張剤の投与にて2か月後に症状は消失し,胸部CT写真で左S9のスリガラス影,粒状影も消失した。
実は、私も小学生ころから猫を飼っていて、小学校高学年か中学くらいに大きな呼吸困難の発作を起こして緊急入院した経験があります。
そういえば、実家では鉱物系の猫砂を使っていました。
私はてっきり「猫アレルギーだろう?」と思っていたのですが、「ベントナイト塵肺症」のリスクも合わさり、喘息を発症してしまったのかもしれません。
紹介した「ベントナイト塵肺症」の症例にある論文には、「ペットのトイレ砂が原因してい ると推測され」という言葉がありますが、ベントナイトが気管支喘息の原因になっていると認識している医師はどれくらいいるのでしょうか?
私が知っている限り、0人でした。
問診の際に「猫を飼っている」と伝えることはありましたが、医師から「鉱物系の猫砂を使っていますか?」と聞かれたことは一度もありません。
ということは、鉱物系の猫砂のホコリを吸い込むリスクを理解している医師は、少ないと考えられます。
だから、「ベントナイト塵肺症」の症例は少ないのでしょうね。
また、細かいホコリが立ちやすい鉱物系の猫砂は、猫が吸い込むリスクがあります。
猫は地面に近い場所で用を足すので、ベントナイトのホコリが立っている場所にいることになり、猫が大量に吸い込む問題に注意しましょう。
気管支が弱い人が鉱物系の猫砂を片付けるだけでも問題が出ているので、毎回その場所で用を足す猫はもっとリスクが高いといえるかもしれません。
現に、厚生労働省リスクアセスメントマニュアルでは、アスベストに次ぐランクにベントナイトがありました。
そういえば、猫にも喘息があると聞いたことがあります。
猫のように体が小さいと化学物質の影響を受けやすいため、ホコリが立ちやすい安い猫砂を使うのは避けたほうがいいですね。
市販されている鉱物系の猫砂の中には、ホコリがほとんど立たないものがあります。
猫が鉱物系の猫砂を好むようなら、「ホコリが立たない」と明記されている以下のような鉱物系猫砂を使うようにしましょう。
低カリウム血症のリスクがある
続いて、猫が鉱物系の猫砂を口にしてしまうリスクについてです。
大量に猫が口にしてしまうと「低カリウム血症」のリスクがあります。
ただし、ベントナイト自体は食品添加物として使用が認められているものであり、幅広い分野でも使用されているものです。
ベントナイトの適応範囲はきわめて広く,各種の工業,医薬品および化粧品用として使用され てい3)。薬用では軟膏,パップ剤,粉末剤の基剤または賦形剤として使われている。医療分野では日本薬局方1)にも収載されており,中毒治療とか,X線造影用硫酸バリウムと混ぜて検査に使用されている。
食品製造中の精製ろ過工程で不純物を吸着し、ろ過を効率よく行うために加える不溶性の微粒子です。二酸化ケイ素や酸性白土、カオリン、ベントナイト、タルク、砂、ケイソウ土などの不溶性鉱物性物質があり、使用後に除去されます。
食品添加物や医薬品として使うベントナイトは、あくまでも少量使用です。
長期にわたり大量に口にすることを想定していないからこそ、使用が認められています。
ただし、猫砂を猫が大量に口にしてしまう場合は、事情が異なってきます。
「猫が猫砂を大量に食べる」ことは通常では考えられないことなのですが、ベントナイトは非常に細かい粒子で、猫の指の間や毛に付着しやすいため注意が必要です。
猫が大量にベントナイトを意識的に口にするわけではなく、猫が体や毛を舐めたときに、ベントナイトを口にするリスクのほうが重要ではないでしょうか。
実際に猫がベントナイトを口にして、実際に低カリウム血症になった報告がありました。
ベントナイトの毒性については,Hornfeldtらがネコでペットの敷き藁に含まれているベントナ イトを慢性に経口摂取して,低カリウム血症と高度な低色素性貧血を呈した例を報告 している
猫にベントナイト粘土敷き砂が一般的に使用されていることを考えると、獣医師は、猫が無気力、衰弱、共存する低カリウム血症と貧血のために紹介された場合、ベントナイト毒性を考慮する必要があります
低カリウム血症とは、カリウムが十分に摂取できていない状態のことです。
腎臓や副腎の異常の原因になることがあるため、猫を飼っているならベントナイトの粉末が猫の体内に入らないよう考慮したほうがいいかもしれません。
危険じゃない鉱物系以外の猫砂はどんなものがあるのか?
ここまで読み進めてみて、「鉱物系の猫砂は危険なの?」と思ったかもしれません。
「ベントナイトは食品添加物として認められており安全なので、猫砂に使うならホコリが立たないものなら安全」と主張するサイトもあるようです。
最終的に、「鉱物系の猫砂は安全」とも「鉱物系の猫砂は危険」という結論も出ていません。
しかし、鉱物系猫砂はリスクが1でもあることはわかっているので、「猫や人に安全な猫砂を使いたい!」と考えるなら、次に紹介する猫砂の特徴を比較してみてはどうでしょうか。
紙製の猫砂
紙製の猫砂は、吸水ポリマーで猫のオシッコを固めるタイプです。
吸水ポリマーを使っているとトイレに流せませんが、燃えるゴミとして捨てられます。
また、吸水ポリマーを使っていない紙製の猫砂なら、トイレに流せて便利ですね。
デメリットは、ベントナイトほど固まらないこと、軽くて砂に似ていないので猫が好まないことが多い点です。
使用している化学物質は、凝固剤・接着剤・吸水ポリマーなどです。
ベントナイトのような粉塵は出にくいタイプなので、猫や人がホコリを吸い込む心配は少なくなっています。
おからの猫砂
豆腐のしぼりかす「おから」を原材料にした猫砂です。
食品が使われているので猫が食べても安心で、猫の肉球や毛に付着して猫が舐めてしまってもリスクがありません。
ただし、おから独特のにおいがあるため、猫が嫌って使わないことがあります。
食品が原材料なのでカビやすく、防腐剤を加えていることが多い点に注意が必要です。
木製ペレット
おがくずやヒノキなどのチップを固めたものが、木製ペレットの猫砂です。
ヒノキは防虫や消臭効果があるので、猫のオシッコの臭いが気になりません。
木製ペレットはベントナイトのような使い心地のため、猫が好むことが多いようです。
ベントナイトを避けたく猫の使い心地を考えるなら木製ペレットがいいですね。
化学物質としては、撥水材や接着剤などです。
製品によってはホコリが立ちやすいものもあるので、粘着剤でしっかり固められたものを選ぶとそれほどホコリは目立ちません。
ただし粘着剤は化学物質なので、猫の安全を考えると天然木のみで作られた木質ペレットの猫砂がよさそうですね。